独立行政法人 農業者年金基金

リスク管理の徹底と業務全体のリスク管理の高度化 (平成28年12月現在)

 農業者年金基金では、独立行政法人農業者年金基金法に規定する農業者の老後の生活の安定、農業者の確保といった当基金の社会的使命を果たすため、年金財政の健全性を維持し、農業者の皆さまからのご理解と信頼が得られるように、業務上発生し得るさまざまなリスクを適切に管理することに取り組んでいます。
 そのため、当基金では、リスク管理の目的、リスクの定義、リスク管理体制、役職員のリスク管理の責務等を定めたリスク管理規程を制定し、同規程に基づき、当基金の業務の特性を踏まえ、リスクを総体的に把握・評価し、リスク管理の徹底を行うことにしています。
 また、当基金では、リスク管理の徹底とともに、リスク管理をより高度化していく取組を進めています。

リスク管理体制

  リスク管理にあたっては、内部統制の基本方針に規定するリスク管理規程に従い、各リスクの管理を担当する役員・部署・委員会等において、各種リスクの特性に応じた適切なリスク管理を行うとともに、経営管理会議の下にあるリスク管理委員会において、当基金の各種リスクについて、総体的な把握、分類、定義付けを行い、各リスクの管理が計画的、効果的、有効に実施できるよう、統合的に管理を行うことにしています。
 また、リスク管理委員会とは別に内部監査部門を設置し、同部門がリスク管理の状況についてチェックを行う等、二次牽制機能の確保も図っています。

 内部統制:当基金の業務の適性を確保する仕組みのことです。

組織図

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給付準備金リスク管理

 給付準備金リスクとは、年金債務(将来給付に必要な額)に対して、年金資産が不足するリスクです。
 安定的に年金財政を運営し、将来にわたって確実に年金給付を行っていくためには、年金債務に見合う年金資産が保有されているかどうかという観点からリスク管理を行うことが、大変重要です。
 農業者年金の財政方式は、法令に基づいて、確定拠出型の積立方式となっており、将来の年金額は、保険料の積立総額とその運用収入の額によって年金給付の原資が決まる仕組みです。このため、保険料積立中の被保険者に対しては年金債務は発生しません。年金額は年金給付の原資が確定した時に、年金数理により、年金額が決まりますので、受給権者に対して年金債務が発生します。
 年金債務が発生する受給権者の経理では、資産運用(給付原資の運用)を国債運用とした上で、債務と資産を一致させることを基本に、運用資産のキャッシュ・フローが債務のキャッシュ・フローにできるだけ一致するような運用に努めています。このため、金利変動があっても年金債務も運用資産も評価額が基本的には同じ方向(プラスの方向またはマイナスの方向)に同じ額だけ変動しますので、金利変動の影響を受けにくい方式となっています。
 当基金では、こうした方式で年金債務に対して年金資産が不足するリスクを抑制しています。

 法令:独立行政法人農業者年金基金法等

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資産運用リスク管理

 資産運用リスクとは、保有する資産の価値が変動し、マイナス運用などが発生するリスクであり、市場リスク・信用リスクなどに分類されます。農業者年金基金は確定拠出型の年金であるため、その特性を踏まえ、中長期的に見て、安定かつ効率的な運用となるようなリスク管理が必要です。

主な資産運用リスクの定義と管理

  • 市場リスク管理
  •  市場リスクとは、金利、株価、為替等が変動し、マイナス運用となるリスクです。
     当基金では、農林水産大臣認可を得て定めた運用の基本方針の中で、市場リスクの比較的小さい国内債券を中心に国内株式、外国債券、外国株式を組み合わせた資産構成割合をあらかじめ決めており、その構成割合に沿って分散投資し、市場リスクを一定の範囲内に抑制しています。
     被保険者が65歳になった時に年金額を決定(年金裁定)する際に、仮にマイナス運用の影響で年金給付の原資が保険料総額を下回るような場合には、危険準備金(付利準備金)からその分を補填する仕組みも備えています。付利準備金は一定以上の運用利回りであったときに、あらかじめ決めたルールで少しずつ積立てているものであり、65歳年金裁定時の補填財源として十分な水準の額を現在確保しています。

  • 信用リスク管理
  •  信用リスクとは、運用する債券等について、債券等の発行元の財務状況の悪化等により、資産の価値が減少・消失し、損失を被るリスクです。
     当基金では、基金自らが運用する国内債券は、国債、政府保証債に限定しており、信用リスクを抑制しています。また、信託銀行に運用を委託する債券等においても、債券は野村BPI(公共債、A格以上の債券)など信用リスクの低いものにしています。

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流動性リスク管理

 流動性リスクとは給付に必要な現金を調達できないリスクです。
  当基金では、受給権者の経理で保有する給付原資は国債であり、給付のため換金する場合の流動性リスクを抑制しています。

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オペレーショナルリスク管理

 オペレーショナルリスク(業務リスク)とは、業務の事務処理や手順などが不適切であることに起因して発生するリスクをいい、このリスクには、事務リスク、進捗管理リスク、要員リスク、などが含まれます。
 当基金では、ヒヤリ・ハット事例や顕在化した事務ミスの発生状況の把握、リスク分析等を踏まえた業務に内在しているリスクの抑制、再発防止策の策定・実施に取り組むことにしています。

主なオペレーショナルリスクの定義と管理

  • 事務リスク
  •  誤処理等の事務作業上のリスクや事務が非効率となるリスクです。
     当基金では、平成26年度から新システム(農業者年金記録管理システム)を導入しており、人為的ミスの余地をできるだけ減らしています。その上で、事務処理マニュアル、チェックリストの作成、複数職員によるチェック・確認を行い、事務リスクの抑制と削減に努めています。また、過去の事務ミス等からの教訓研修等を行い、事務リスクの抑制に活かすことにしています。

  • 進捗管理リスク
  •  進捗管理が適切にできないことや、進捗管理の具体的な手順が不適切であることに起因するリスクです。
     当基金では、事務作業ごとに作業スケジュール表や工程表を作成し、進捗管理を組織内で情報共有しながら行い、進捗管理リスクの発生抑制に努めています。

  • 要員リスク
  •  業務量との関係で要員配置と業務分担が最適でなくなったり、人事異動に伴う事務執行の不安定化、適材適所の要員配置に必要な人材不足などに起因するリスクです。
     当基金では、研修、ジョブローテーション、資格取得支援により計画的な人材育成を行うことや、普段から適切な業務引継書、業務マニュアルを作成・整備することなどにより、要員リスクの発生抑制に努めることにしています。

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個人情報リスク管理

個人情報が漏洩するリスクです。当基金では、次のとおり、個人情報リスクに対応しています。

  • 当基金のオペレーションに起因する個人情報漏洩リスク
  •  当基金の役職員が通常行う業務において、事務処理や手順などが不適切であることに起因して、個人情報が漏洩するリスクです。
     当基金では、個人情報へのアクセス権限を厳格に管理し、業務に無関係な職員のアクセスを厳格に制限するとともに、電子データとしての個人情報を扱う際には、インターネット環境から切断されたクローズドネットワーク環境で作業を行うこととするなど、全役職員に、個人情報保護管理規程や情報セキュリティの確保に関する規程等の徹底を図り、個人情報漏洩の防止に努めています。

  • 発注先事業者において個人情報が漏洩するリスク
  •  発注先事業者が行う業務において、事務処理や手順などが不適切であることに起因して、個人情報が漏洩するリスクです。
     民間事業者へ業務を発注するにあたっては、契約書及び仕様書に個人情報保護に関する条項を入れ、これを徹底させることで、個人情報漏洩の防止に努めています。

  • 業務受託機関(市町村・JA等)において個人情報が漏洩するリスク
  •  業務受託機関が行う業務において、事務処理や手順などが不適切であることに起因して、個人情報が漏洩するリスクです。 業務受託機関が行う業務に関しては、委託契約書において、個人情報保護に関する条項を入れ、これを徹底させることや、農業者年金業務のシステム利用において、一定の利用制限を行って、アクセス権限の管理を厳格に行うことで、個人情報漏洩の防止に努めています。
     また、業務受託機関向けの研修において、個人情報保護や情報セキュリティに関しての指導も行っています。

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システムリスク管理

 システムリスクとは、コンピューターシステムのダウンまたは誤作動、不備、不正使用等に起因するリスクです。
 当基金では、農業者年金記録管理システムに障害が発生した場合に備えてサーバーの冗長化(二重化など)を行い、仮に災害発生等により、システム停止になっても回復が可能となるようアプリケーションを含め、バックアップデータを遠隔地含め複数の箇所に保管しています。また、同システムに対する不正アクセス等を防止するため、電子証明書による利用者の認証を行うこと等によりセキュリティ管理を行っています。

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コンプライアンスリスク管理

 コンプライアンスリスクとは、法令等違反、内部規則違反に起因するリスクです。
 当基金では、理事長から運営基本理念、運営方針及び行動指針を役職員に提示し、部課長会等で徹底しています。また、新任研修時において、コンプライアンスハンドブックを配付するとともに、倫理研修を行い、法令等違反、内部規則違反の防止に努めています。

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