独立行政法人 農業者年金基金

JA全国女性組織協議会 中川苗保子理事

 JA全国女性組織協議会 中川苗保子理事
なかがわ なほこ
1959年北海道生まれ。JAながぬま女性部所属。2021年よりJA北海道女性組織協議会会長、2023年5月よりJA東北北海道女性組織協議会会長及び、JA全国女性組織協議会理事。結婚を機に就農し、現在、種馬鈴薯、種子大豆、加工用スイートコーン、春小麦を生産。
2023年10月より、農業者年金広域推進協力員。

JA全国女性組織協議会 佐藤佑美理事

 JA全国女性組織協議会 佐藤佑美理事
さとう ゆみ
1989年新潟県生まれ。JAえちご中越フレッシュミズきらり所属。2020年より農業女子PJメンバー。nowa(長岡地域女性農業者コミュニティ)代表。2023年5月よりJA全国女性組織協議会理事。結婚を機に就農し、現在、水稲、ささげ豆、小松菜、ほうれん草を生産。
2023年10月より、農業者年金広域推進協力員。


①結婚を機に就農。2人は“種子仲間”。


理事長
 まず、お二人の農業経営についてお伺いします。


佐藤理事
 水稲を30ha、そのうち10haで水稲採種を行っています。また、農福連携でささげ豆を1.5ha、冬にハウスで小松菜とほうれん草を作っています。実は中川理事とは種子仲間なんです。


中川理事
 私も種子用の馬鈴薯と種子用の大豆を作っています。なので、種子にはうるさいです(笑)。また、加工用のスイートコーンと春小麦を作っています。



理事長
 お二人はいつ頃就農されたのでしょうか。


中川理事
 結婚を機に就農しました。結婚をして約40年になりますが、長い歳月を農業に捧げています。


佐藤理事
 私も結婚を機に就農しました。農業に携わるようになったのは、結婚をする約1年くらい前からです。



②税制優遇は大きなメリット、配偶者からの勧めもあり加入


理事長
 お二人は農業者年金に加入していただいていると伺っていますが、加入のきっかけや経緯を教えていただけますでしょうか。


中川理事
 現在、夫と息子と農業経営をしています。息子は、大学を卒業して就農した時に農業者年金に加入しましたが、その時に主人が私が加入していないことに気づいてくれたので、そこから加入して15年くらい加入しています。
 主人に、「どうして私を農業者年金に加入させてくれたの?」と聞いたところ、「税金対策だよ」と言っていたので、きっかけは税金対策だったようです。


理事長
 農業者年金は、税制優遇が大きなメリットで、生計を一にするご家族の分の保険料を経営主が負担した場合、その分もまとめて社会保険料控除の対象となりますからね。


中川理事
 そうですので、もう少し早く加入すればよかったと夫婦で話していました。


佐藤理事
 私は夫の勧めで加入しました。JAの営農担当者も夫と同じくらい農業者年金を勧めてくれたので、私から加入しようと思ったというよりも、当たり前に加入したような形でした。


理事長
 ご主人はなぜ農業者年金を勧めてくれたのでしょうか。


佐藤理事
 保険料が全額社会保険料控除の対象となるからだと思います。
 3年前に大きな設備投資をしたのですが、そのときに、投資分を回収するまでは農業者年金の保険料を低くしておこうと思い、保険料の額を下げました。そうしたところ、税理士さんに、「今年はこれしかないの?」と言われ、他のものを下げて農業者年金をもっと充実させても良いのではというお話しもあったくらいでしたから、それだけ、全額が社会保険料控除になる点は魅力的なのだと思います。


理事長
 経営の中で投資はやはり必要なことですし、その中で保険料の金額を自由に変更できるところは大きなメリットですよね。他にメリットだと感じる点はありますでしょうか。


中川理事
 実際に年金を受給し始めるとさらに良さを実感できるのかなと思います。ただ、良い制度ということは分かっているので、農業者年金に加入している事実が老後の安心感に繋がっていくのかなと思っております。主人は農業者年金を受給しているので年金額を聞いたのですが、曖昧にされてしまいました(笑)。ただ、「老後は多分大丈夫だよ」という話はしていましたね。



佐藤理事
 私は、毎年6月に運用結果のお知らせが届く時に嬉しいなと感じます。ちょっとプラスになっていたら良かったと思いますし、マイナスの数字の年もありましたが、しっかり運用していただいていることは分かっているのであまり心配はしていません。国民年金と違って、自分で掛けたお金が積み立てられ自分の年金になる仕組み、それに併せて運用している所が魅力に感じる点だと思いました。


理事長
 自分が払い込んだ保険料が目に見える形でこれだけ成長していますよ、と定期的に確認できるというのは魅力かもしれませんね。



③農業者年金は老後の安心材料


理事長
 農業者の老後の備えについてどうお考えですか。ご自身の老後の備えに関してでも結構ですし、一般論として農家の皆さんの老後の備えということでも結構です。


中川理事
 専従者給与の他に、農業者年金にも加入しているので、多分老後は心配ないと主人は言っていますね。本当に困ったら後継者の息子を頼ろうなんて話しています。私は農業者年金に加入しているので、加入していない他の方々より少し余裕があるのかなと思います。


佐藤理事
 農業者年金などを活用し老後に備えてはいますが、闇雲に備えている感はあります。農業は一生現役のような形なので、私の夫もいつまで農業をやるか、どういう形で経営を引き継ぐかというプランがないので、老後の備えが適切かどうか正直不安なところです。一方で、定年がないところが農業の良いところなので、健康である限り続けたいと思っています。



理事長
 体が続く限り続けられるのが農業の良さでもありますからね。その中で、農業者年金は通常加入の部分であれば農業を続けながら年金を受給できるので、様々な人生のライフプランに対応していけると考えております。



④加入しないのはもったいない。農業に携わっているのであれば是非加入を。


理事長
 農業者年金について制度そのものを知らないという声が多いのですが、若い方たちにどの程度浸透していると感じていますか。


中川理事
 若い方が知らないと言う以前に、私たちの年代の方々にも知られていないのかなと感じています。
 正直、自分自身も農業者年金に加入しているかどうか、はっきり分かりませんでした。農業者年金の保険料が引かれていることは認識していましたが、今回改めて主人に農業者年金に私が加入しているかどうかを確認して、そこで初めて加入していることを確信しました。
 それから、先日、農業者の女性仲間で集まった際に、農業者年金に加入しているかどうか聞いてみたところ誰も入っていないという状況でした。
 佐藤理事が加入されていると聞いて、若いのにすごいなと思いますし、今後、佐藤理事のような若い方たちは農業をやっているのならば、農業者年金に加入しないという手はないなと感じます。せっかく農業に携わっているのに農業者年金に加入しないのはもったいないので是非とも加入して欲しいと思いました。
 良い制度なので、知らない人がいなくなるようもっとPRすることが大切だと思います。


佐藤理事
 良い制度とは聞くけど具体的な内容は知らない状態の方が多いと思います。女性農業者研修などで女性も加入しましょうと県や市の担当者がチラシを配りますが、研修会の場で踏み込んだお金の話はしづらいこともありますし、チラシだけ配られても加入するまで考えられないのかなと感じています。


理事長
 農業者年金という制度があること自体は皆さん認識しているのでしょうか。


佐藤理事
 名前は聞いたことがあるくらいの認識だと思います。


中川理事
 女性は経営主でないので加入できないという認識が多いのかもしれません。中にはJAの正組合員でないと農業者年金に加入できないと思っている方もいて、経営主が男性の場合、女性が正組合員になるケースはまだ少ないのが現状です。そういった部分も女性に制度が浸透しない一因だと思います。農業をやって農業者年金にも入ったほうが老後のお金の楽しみもできるので、そういうことを分かって貰いたいなと思います。
 息子も今1万円の保険料で加入していますが、貯金と違って引き出せないですし、さらに農業経営に余裕が出てきたときに増額すれば、老後には結構な金額になりますよね。
 何かアクションを起こさないと、農業に若い人が中々入ってこないので、女性部とも協力して農業者年金のメリットを伝えられるよう普及活動をやっていければいいなと思っています。



理事長
 加入者や受給者から直接話しを聞く機会が少ないということですね。人生モデルのようなものがイメージできるといいのかも知れませんね。先々のイメージをもちつつ、今始めることが重要ということをうまく情報として伝えられれば良いですね。



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