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6-1 農業の担い手には保険料の国庫補助あり
~最低保険料2万円の負担が困難な場合には国庫補助の仕組みがあります~
(1)保険料の国庫補助を受けるには
○ 次の3つの要件をすべて満たす方が、月額保険料2万円のうち1万円から4千円の国庫補助を受けることができます。
2. 農業所得(配偶者、後継者の場合は支払いを受けた給料等)が900万円以下
3. 認定農業者で青色申告者など、次の「保険料の国庫補助対象者と補助額」の表の必要な要件のいずれかに該当する
区分 | 保険料額/月 | |
---|---|---|
35歳未満 | 35歳以上 | |
1 認定農業者かつ青色申告者である経営主 |
被保険者負担額
国庫補助額10,000円 10,000円 |
被保険者負担額
国庫補助額14,000円 6,000円 |
2 認定就農者かつ青色申告者である経営主 |
||
3 1又は2の要件を満たしている者と家族経営協定を締結し、経営に参画している配偶者、直系卑属 |
||
4 認定農業者か青色申告者のいずれか一方を満たす農業経営者で3年以内に 両方を満たすことを約束した者 |
被保険者負担額
国庫補助額14,000円 6,000円 |
被保険者負担額
国庫補助額16,000円 4,000円 |
5 1又は2の要件を満たしていない者の直系卑属であり、かつ35歳未満の後継者で35歳まで(25歳未満の者は10年以内)に1の者となることを約束した者 |
- |
(注)35歳未満で加入した方は、35歳から自動的に35歳以上の額に変更されます。
(注)区分1の認定農業者は、農業法人として認定を受けている者は除きます。
(注)区分3及び区分5の加入者は、年間農業従事日数が150日以上である必要があります。
(2)国庫補助の期間は最長20年
○ 保険料の国庫補助が受けられる期間は、イ 35歳以上であれば10年以内
とされ、アとイを通算して最長20年間となっています。また39歳までに加入していれば、加入時点では国庫補助の要件を満たしていなくても、その後に要件が整えばその段階で国庫補助の対象になります。
ア 区分1(認定農業者で青色申告者)で20歳から加入して国庫補助を受けた場合
20歳~35歳になるまでの15年間:毎月1万円の補助、期間中の合計180万円
35歳~40 歳になるまでの5年間:毎月6千円の補助、期間中の合計36万円
国庫補助の合計額:216万円
イ 39歳で通常加入して、43歳から区分3で国庫補助を受けた場合
43歳~53歳になるまでの10年間:毎月6千円の補助、期間中の合計72万円
国庫補助の合計額:72万円
○ 同一家族(経営)内で、要件を満たせば何人でも補助の対象になります。この場合、農業所得900万円以下という所得の要件は、1.経営主は申告する農業所得の金額、2.配偶者や後継者は、経営主から支払われた給料等の金額で判断することとなります。
6-2 国庫補助分の年金を受給するには
○ 国庫補助による保険料とその運用益は、将来、農業経営から引退(経営継承等)して裁定請求すれば、自分の保険料部分の年金(農業者老齢年金)に上乗せして、「特例付加年金」として受けることができます。
(1)特例付加年金の受給要件
特例付加年金を受給する要件は、次の2つです。
2. 農業経営から引退(経営継承等)する
1.「保険料納付済期間等が20年以上」について
次の期間の合計が20 年以上であること
(ア) 保険料納付済期間
(イ) カラ期間(※)
(ウ) 旧制度の保険料納付済期間
(エ) 旧制度のカラ期間
※「カラ期間」とは、農業者年金から脱退した場合に、一定の要件に該当する厚生年金の加入期間などを、「保険料納付済等期間」に算入することができる期間です。
<カラ期間の例>
いずれも農業者年金の加入者が、
・出稼ぎで厚生年金に加入した期間
・農業に従事しながら会社勤めをして(兼業となって)厚生年金に加入した期間(最長10年)
・農林漁業団体の常勤役員になって厚生年金に加入した期間
・農業法人化して厚生年金に加入した期間
・国民年金の保険料納付を免除された期間
2.「農業経営から引退(経営継承等)をする」について
引退(経営継承等)をする時期に年齢制限はなく、本人の体力や経営の都合に合わせた時期に行っていただくことができます。
(ア)農地等の権利を持っている方
対象となる農地等 | 権利移転等 |
---|---|
1.農地、採草放牧地 | 後継者又は第三者(注)に権利の移転・設定(期間10年以上)をして、農業経営から引退する |
2.残存耐用年数が10年以上の畜舎又は温室 | |
3.残存耐用年数が10 年未満の畜舎、温室などの農畜産物の生産に使っている施設(パイプを直接地面に差し込む等の簡易なビニールハウス本体は除かれます) | 後継者又は第三者(注)に権利の移転・設定をするか、農業に使わなくする(売却、供用廃止、用途変更)かして、農業経営から引退する |
1.及び2.の第三者は、60歳未満の経営者、農業法人、農地中間管理機構、JA 等。
3.の第三者には、このような要件はありません。
(イ)農地等の権利を持っていない方
家族経営協定の破棄や、経営参画条項を変更することにより、農業経営から引退する |
(2)農業者老齢年金は無条件で裁定請求すれば受給できます
○ 「国庫補助額とその運用益による年金(特例付加年金)」は経営から引退(経営継承等)しないと受給することはできませんが、「自分が納めた保険料とその運用益による年金(農業者老齢年金)」は無条件で65歳以上75歳未満の間で裁定請求を行なったときから受給できます(希望により60歳~64歳の間で繰上受給することもできます。)。なお、裁定請求せずに75歳に達したときは、75歳から年金を受給することになります。
○ 農業経営から引退(経営継承等)を行う時期に年齢制限はないため、例えば、農業者老齢年金を65歳から受給しながら農業を続け、引退(経営継承等)後に特例付加年金を受給することが可能です。